第2回「味噌ものがたり大賞」受賞者発表!!
優秀賞坂口 将崇 様
「土を喰う日々、わが精進十二ヵ月」を読んでから、自分で育てた野菜を食べてみたくなり、家から車で十分ほどの距離にある小さな畑を借りた。
世界地図のような虫喰いを残し、U字に曲がった茄子、トウモロコシはヤングコーン、唯一うまくいったのはバターナッツというカボチャだった。受粉は蜂や虻がやってくれたのだろう。彼らは畑初心者に優しいのだ。
土がついた野菜をそのままカゴに入れて持ち帰り、シンクで綺麗に洗った。今日はU字茄子とバターナッツの味噌汁にしよう。小さく切って、弱火でじっくり柔らかくなるまで茹でる。甘い香りが漂ってくると火を止めて、昨冬に仕込んでおいた味噌をホーロー容器から少しばかり取り出し、ゆっくりといた。「こんなにもいい香りがするなんて」妻の帰りを待ちながらその小さくて濃厚な感動を静かに飲み込んだ。しっかり落としたはずだったが、気のせいかふんわりと土の匂いがした。
審査員長 松浦弥太郎の評
土に触れ、育てた野菜を味わうことは、暮らしの原点に立ち返る行為です。曲がった茄子も、甘いバターナッツも、すべてがあなたの一年の物語。坂口様が畑から持ち帰ったのは野菜だけではなく、慎ましくも確かな「自分の手で生きる」という力ですね。味噌汁とは、素材の姿をありのまま受け入れ、人の心までやわらかくする料理だと教えてくれるエッセイでした。