第2回「味噌ものがたり大賞」受賞者発表!!

優秀賞ゆい としまさ 様

「あぁ〜」うまい味噌汁は喉が鳴る。学校が終わって帰ると、いつも先に妹が帰ってきており、本を読んでいた。母は仕事でいつも留守だった。晩ごはんはいつも二人で食べる。どんなに母が忙しくても、必ず味噌汁だけはあった。部活で帰りが遅くなった日も、まだ温もりが残る雪平鍋に母の気配を感じて安心していた。合わせ味噌がたっぷりの少ししょっぱい、でも優しい、いつもの味噌汁。「ひもじい思いだけはさせない」といつも言っていた、見栄っ張りな母の性格が味に出ていた気がする。本当は、いつも遅くまで働いてくれていた母にこそ、飲んでほしいなぁっとずっと思っていた。大人になって、母の日には実家に帰省し、味噌汁を作ると決めている。具材はかぶと小松菜の白味噌で作る質素な味噌汁。母は、いつも不思議そうな顔をして、「ありがとう」と言ってくれる。なんで僕が味噌汁を作るのかを母は知らない。一年に一度の味噌汁。「あぁ〜」と母の喉も鳴る。

審査員長 松浦弥太郎の評

どんなに忙しくても、食卓に一杯の味噌汁を置いてくれた母の思い。その温もりを、大人になった今、ゆい としまさ様がそっとお返しているのですね。やさしいお気持ちがじんわりと伝わってきました。いつかの「ひもじい思いだけはさせない」というお母様の気骨と、一日一杯の味噌汁に宿るささやかな愛情。合わせ味噌がたっぷりの少ししょっぱい、でもやさしい、いつもの味噌汁。なんておいしそうなのでしょう。ありがとうございます。